在宅CPAP療法とは

在宅CPAP療法のイメージ

当クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)と診断され、何らかの原因によって睡眠中に上気道が閉塞してしまい、それによって無呼吸もしくは低呼吸状態になっている閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の患者さんにつきましては、在宅CPAP療法を行います。

そもそもOSASとは、肥満によって首回りの脂肪がついている、アデノイド増殖症、扁桃肥大、先天的に顎が小さいなどが引き金となって発症するタイプで、これらによって睡眠中に気道が閉塞してしまうと、無呼吸や低呼吸状態以外にも、いびき、中途覚醒、夜間頻尿などの症状がみられるほか、起床時には頭痛、日中の活動時には強い眠気に襲われる、集中力の低下などもみられるようになります。またOSASの患者さんは一時的に無呼吸(低呼吸状態も含む)の状態になるわけですが、これは血圧を激しく変動させることから、高血圧症をはじめとする生活習慣病が伴いやすく、SASの症状がない方と比較すると、その(高血圧症の)発症リスクは2.9倍とも言われています。このような合併症を防ぐためにも、OSASの症状に心当たりがあれば、一度検査を受けられることをお勧めします。

検査について

OSASが原因のSASが考えられる場合、まず問診や診察を行い、次に簡易睡眠検査を行います。簡易睡眠検査とは、患者さんの睡眠中に起きるとされる無呼吸あるいは低呼吸の状態を計測する装置を用いるというもので、同装置は当クリニックで貸し出しの手配をします。

検査時は、その装置にあるセンサーを鼻や手の指先などに装着し、眠りにつきます。これによって、AHI(apnea hypopnea index)と呼ばれる数値を測定していくわけですが、これは睡眠中1時間当たりで、どれくらいの頻度で無呼吸(10秒以上の呼吸停止)あるいは低呼吸(吸気振幅が50%以上減少している状態が10秒以上続く)にあるかを調べるものになります。計測の結果、その頻度が5回以上15回未満であれば軽度、15回以上で30回未満であれば中等症、30回以上であれば重症と判定されます。

なお簡易睡眠検査の結果、患者さんによってはこの時点で治療が必要と診断されることもありますが、医師からさらに詳細な検査が必要と判定されることがあります。この場合、医療機関に宿泊し(当クリニックで紹介します)、睡眠中の呼吸状態だけでなく、心電図、脳波、筋電図、SpO2なども計測するポリソムノグラフィー検査(PSG)を行います。検査時は、鼻マスクや電極を装着し、ベッドで眠りにつきます。朝起床したら検査は終了になります。

治療について

これらの検査の結果、軽度と診断された場合は、マウスピースを作成し、睡眠時にそれを装着して就寝することで、呼吸状態が改善することもあります。なお、AHIの測定数値が20を超え、日中に強い眠気などの症状がみられるということであれば、在宅CPAP療法を行います(一定の基準を満たしていれば健康保険が適用されます)。

同療法では、CPAP装置と呼ばれる機器を使用しますが、同装置は患者さんに貸し出されます。使用方法についてですが、この装置には鼻に当てるマスクがあります。これを装着して眠りにつくだけです。睡眠中は圧が加わった空気が常に気道へ向けて送られるので、閉塞状態が避けられるようになります。適切に使用することで、日中の眠気や中途覚醒などの症状が解消され、血圧が下がるといった効果がみられるほか、鼻呼吸による睡眠となりますのでいびきも減少していきます。

また肥満が原因という方は、併行して減量に努める必要もありますので、生活習慣の改善(適正なカロリー消費、運動療法 など)も行うようにしてください。これも治療のひとつです。

なお在宅CPAP療法をしている間は、定期的に通院し、その状況について医師に報告する必要があります。その際に気になる点や質問があれば、遠慮なくお申し出ください。